医師は税金が高く、なるべく「労働以外の方法」の収入を増やそうとする流れが、近年は活発です。
しかしながら、いわゆるプロでも難しいと言われている、株式投資の世界。医師が踏み入れるには、どういった事に注意するべきなのでしょうか?
株式会社ブルーストレージは、現役医師でありながら投資家でもある、Dr.ラス先生に、インタビューを実施致しました。
この記事のインタビュー医師
医師の株式投資、迷ったらインデックス投資で放置
ー医師の株式投資の基本戦略を、教えていただけますか?
はい、迷ったらインデックス投資を買って放置してて下さい。見ないで買って、買った事を忘れておいて下さい。
なぜならば、これが誰にでもできて、最も期待値の高い方法だという事が、過去の研究からわかっているからです。
ーなぜ、インデックス投資を買って放置するのが、期待値が高いのでしょうか?
まず手数料が少ないからです。手数料はなるべく支払わないに越した事はありません。
手数料を減らすには2通りの方法があって、1つは手数料の低いインデックスファンドを買う事、もう1つは売買回数を減らす事です。
次に市場平均にベットできるからです。個別銘柄は値動きが大きく、未来が不確かですが、市場平均は値動きがそれほど大きくなく、ほぼ確実に平均して一定の成長が見込めます。
ー株式投資と言えば個別銘柄のイメージですが…
個別銘柄は、無理にやらなくて良いです。インデックスを超えたパフォーマンスが、1年2年という短いスパンでは出る可能性がありますが、長い目で見ればインデックスに期待値では勝てません。これに関しては、もうそういうデータが出ているので、覆す事のできない事実です。
ではなぜ、一部のファンドが市場平均を超えた成績を出せているのか?その答えは、近年では「高速取引」にあると言われています。多額の資金と頭脳を投入し、市場のパターンを自動で解析して高速取引する「システム」を、一部のファンドが開発・保有しており、それにより利益を上げています。
当然、生身の人間にはマネできませんし、個人投資家の売買はそのシステムの「エサ」になっています。
ーなるほど…逆にインデックスファンドのデメリットはありますか?
あります、面白くない事です。夢もない。
盲目的に買って、触るなって言っているわけですからね。頭も手も使わないですから。株式投資にリターンを求めず、夢と面白さを求める人は、インデックス投資に向いていないかもしれません。
ー忙しい医師には「買って放置」は向いていそうですね。
おっしゃる通りです。忙しくして買った事を忘れるくらいの方が、むしろうまくいくと思います。
医師が製薬会社の株を持つと、めんどくさい
ー医師ならではの、株式投資の注意点はありますか?
あります、製薬会社です。医師が製薬会社の株を持つと、学会のCOI開示等が面倒で、少し恥ずかしいです。
近年、医療業界も透明性とコンプライアンスが求められる時代になりましたので、致し方ありません。
医師の株主優待目的の投資は、やめましょう
ー他に、医師の株式投資の注意点はありますか?
医師ならでは、ではありませんが…株主優待目的の投資は、やめた方が良いと思います。
医師は忙しいですし、優待をもらってもどうせ使えない事の方が、圧倒的に多いです。期限切れの株主優待券を、捨てる事になります。
医師の資産運用は株だけでは無い
ー医師が株式以外で投資をするなら、何がありますか?
僕は株式投資を通じて、今は不動産メインで投資をしております。
ひとくちに医師と言っても、様々な方がいます。僕は両方やってみた結果、不動産の方が肌にあったのでそちらに重きを置いております。
投資は株だけではありませんから、株式投資に興味のある先生も、1度は検討はしてみても良いと思います。
医師は株式投資以外、副業という手段も
ー医師が株式投資以外で、お金を稼ぐなら、何がありますか?
個人的には副業もアリかなと思います。具体的には、記事の執筆とか、それこそこういうインタビューを受けるとか。産業医や美容系のバイトをする先生も、最近は増えましたね。
医師としてバイトするだけではなく、少し別のベクトルで、簡単な副業から始めてみるのも、長い人生では糧になると思います。
医師のポイントサイト、オススメしません
ー医師のポイントサイトで稼ぐ、というのが流行っているようですね。
個人的には医師がポイントサイトで稼ぐのは、オススメしません。時間効率悪いからです。
結構な時間、ポチポチやり続けて、年間30万円とかですよね。月2万円台ですよ。時間がもったいないですよ。
それならもっと、効率よく稼ぐ方法はいくらでもあります。
もちろん稼ぐ事を目的にするのではなく、ちゃんと勉強したり最新のトレンドを学びながら、ポイントを得るというのであれば、良いと思いますけれどね。
医師の投資スタイル、オススメなのは…
ー医師の投資スタイルで、結局オススメなのは何ですか?
僕が最終的に行き着いたのは、不動産投資とインデックスファンドのハイブリッドです。
不動産を個人で購入、減価償却して5年以上保有して売却し長期譲渡所得による有利な税率を享受しつつ、不動産賃貸業の法人を作り経費を使用、節税。
不動産単独で余った手元資金と、節税できた資金を合わせて、インデックスファンドを買って放置。
これが、今のところ僕が見出した「最適解」です。
インデックスファンドの原資に、なるべく医師としての労働収入を使わないのがミソです。
ー最後に、株式投資を考えている医師の方々に一言お願いします。
軽く勉強して、とりあえず少額で始めてみましょう。始めてみてわかる事もたくさんあります。自分がどんな投資に向いているのか、自分という人間の思わぬ性格とか…。それらを自分でわかった上で、金額を増やすのが良いと思いますよ。