フリーランス医師って実際どう?インタビューしてみた

医師のキャリア

医師の中でも異色の存在、フリーランス医師。

フリーランス医師が珍しく無い昨今ですが、あまり身近にはいませんよね。実際「フリーランス医師になりたい、実際どうなんだろう…」と思う先生もいるのではないでしょうか。

株式会社ブルーストレージは、現役のフリーランス医師であるDr.独太先生に、インタビューしを実施しました。

この記事のインタビュー医師

  • Dr.独太

現役フリーランス医師。趣味は医師のQOL最大化。週4労働、週休3日がライフスタイル。

Twitter:https://twitter.com/drkodoc

 

フリーランス医師とは

フリーランス医師とは

  1. 特定の常勤先の病院を持たず
  2. 医局等の組織にも属さない

フリーで活動する、複数の職場で働く医師の事です。

 

フリーランス医師の年収

フリーランス医師の給料は、概ね年収2000万円〜4000万円がボリュームゾーンです。

 

現役医師に聞く!フリーランスの多い診療科は?

フリーランス医師は、あらゆる診療科で存在していますが、多いのが

  • 放射線科
  • 麻酔科
  • 整形外科
  • 精神科
  • 産業医

です。

 

フリーランス放射線科医は多い?

ーフリーランス放射線科医師は、多いですか?

割と多いです。専門医を取得すると遠隔読影ができるので。僕の友人は他の仕事、例えば寝当直のような仕事と組み合わせています。

ー専門医の資格が必要なのですね。

読影料に専門医が必要なので、フリーランス放射線科医になろうと思っている人は、専門医は必須です。

 

フリーランス麻酔科医は多い?

ーフリーランス麻酔科医は、多いですか?

多いです。フリーランス医師といえば、麻酔科じゃないでしょうか。

ーそれはなぜですか?

仕事をアウトソースしやすいからだと思います。患者さんで「この先生じゃないと嫌だ!」と仰るような、医師にファンが着くのって、主に直接接する科だと思うんですよね。麻酔科や放射線科は、直接接しないので仕事をアウトソースしやすいので、結果的にフリーランス医師が入り込む余地があるのだと思います。

ーフリーランス麻酔科医は、年収どれくらいですか?

僕の友人は、年収4000〜5000万円くらい貰っていたと思います。昔はもっと貰えたようですが、フリーランス麻酔科業界も、少しずつ価格が下がっているようです。

ー麻酔科は学会が「フリーランス潰し」をしているそうですね。

はい、専門医の維持条件に「週3日以上同一施設での労働証明」が必要になりましたので、これは常勤への誘導、事実上のフリーランス潰しだと言われています。

 

フリーランス整形外科医は多い?

ーフリーランス整形外科医は、多いですか?

最近増えてきたように感じます。整形外科は需要が圧倒的にあって、地方だと整形外科医が相対的に足りて無い地域が多いので、フリーランス整形外科医は稼いでいる印象です。

ーフリーランス整形外科医は、何をされるのでしょうか?

手術です。逆に外来や術後フォローは、常勤の整形外科医がやってくれたりします。整形外科も専門が多岐に渡るので、高齢化によって需要が爆発した昨今では、フリーランス整形外科医の力を借りる病院は増えている気がします。

 

フリーランス精神科医は多い?

ーフリーランス精神科医は、多いですか?

あまりいません。精神科の外来は、基本的に受け持ち患者さんを長く診察する事が多く、外来がメインになります。アウトソースできるとすれば精神科単科病院の当直などでしょうか。

それでもフリーランスの精神科医が多く感じるのは、おそらく産業医に繋がっているからだと思います。

 

フリーランス産業医は多い?

ーフリーランス産業医は、多いですか?

最近はグッと増えた気がします。産業医の講習会に参加すると、若い先生も増えました。若い先生は女性が多いですね。

前述の通り、ストレスチェック等と絡めて、精神科の先生がメインで参入している印象です。やはり親和性高いですね。ただ精神科でなくても、当然産業医業務そのものはできます。

 

現役医師に聞く!フリーランス医師、コロナで仕事はどうなった?

ーフリーランス医師は、コロナで仕事はどうなりましたか?

そんな影響ないです。10ある勤務先のうち、1つから契約停止になったくらいでしょうか。

ーどのようなフリーランス医師は、コロナで仕事がなくなりましたか?

おそらくエリア契約期間によるかと。都心部を含めた蔓延地域ですと、ちょっと厳しいかもしれません。地方だと他に来てくれる医師がいないので、全然困らないですね。そう言う意味で、エリアの分散は大事です。

また長く勤務している病院からは、基本的に契約が切られにくい傾向にあります。既存の信頼関係ができていますから。フリーランス医師として長生きするなら、信頼関係を大事にしなければなりません。

 

フリーランス医師の年金=国民年金

フリーランス医師は、年金は国民年金に加入します。

国民年金はいわゆる基礎年金、1階部分に該当し、勤務医を常勤でやっていた頃に入っていた厚生年金(一般病院)や共済年金(公務員)等、2階部分に該当する年金は基本的に加入しません

しかしながら、国民年金だけだと将来的な年金の不足に繋がるため、国民年金基金(フリーランスや個人事業主が加入できる、2階建て部分)に加入したり、法人を作ってその法人から給料を貰い、厚生年金に加入する場合もあります。

この辺りは

  • 年金を多く支払って年金を手厚くしたい
  • なるべく年金を支払わず手元にとっておく

どちらの方針なのかに、よります。

医師会の運営する「医師年金」に加入する先生もいますが、医師会会員である必要があるため、多くは開業医の先生です。

 

フリーランス医師の健康保険=国民健康保険

フリーランス医師は、健康保険は国民健康保険に加入します。

国民健康保険の場合、都道府県や家族構成によって保険料が異なるので、注意が必要です。一般的に、常勤の勤務医時代と比べて保険料が高い事が多いです。

医師会の運営する「医師国民健康保険(医師国保)」に加入する先生もいますが、医師会会員である必要があるため、多くは開業医の先生です。

 

フリーランス医師は、個人事業主で青色申告できる?

フリーランス医師は、医師としての労働だけで個人事業主になって、青色申告する事はできません

これについては、既に裁判結果が出ております(所得税更正処分等取消請求事件 東京地方裁判所平成23年(行ウ)第127号 平成24年9月21日民事第38部判決)。以下、引用です。

麻酔科医であるX(原告)は、各病院から得た収入が事業所得に当たることを前提として、平成17~19年分の納付すべき所得税額を14万0900円、425万3500円、919万4300円として確定申告をした。平成19年分についてはXの妻の給与額280万円を青色事業専従者給与として控除することも前提とした。
税務署長は、給与所得に当たること(平成19年分について青色事業専従者非該当)を理由に、更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分をした。平成17~19年分の本税額を231万9100円、928万4900円(生命保険料控除漏れを修正した再更正処分で926万6400円に減額)、1491万3100円とし、過少申告加
算税額を21万7000円、50万3000円(50万1000円に減額)、57万1000円とした。異議申立てを経て、Xは審査請求をしたが、平成22年9月6日付けで棄却(前記減額部分は却下)された。

ー引用:麻酔科医が各病院から得た報酬の給与所得該当性(http://www.rikkyo.ne.jp/web/asatsuma/documents/3bkbTokyoD240921.pdf)

判決の結果から麻酔科だけに限らず、フリーランス医師の給料を無理やり事業所得にして、青色申告するのは不可能だと言えます。

 

フリーランス医師は、法人化して経費が使える?

同様の理由で、フリーランス医師が医師の給料で法人化して、経費を使うのは不可能です。

ただし、例えば法人で不動産を所有し、不動産賃貸業等を行っている場合、当然法人の経費は使用可能です。

個人事業主の場合、一定以上の規模(5戸10室以上)にならないと不動産賃貸業単独で事業主になって、青色申告する事はできません。

 

フリーランス医師は、節税にはならない

結論から言えば、フリーランス医師は単独では節税になりません

不動産など「医師の給料以外の収入」が必要になります。

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現役医師に聞く!フリーランス医師のメリット

ーフリーランス医師のメリットを、教えて頂けますか?

人間関係で苦労しない事でしょうか。良い意味でも悪い意味でも、関係が希薄です。

あと勤務先が分散されるので、リスクが分散されます。常勤先1つでそこをクビになると、一気に露頭に迷うかと思いますが、そういう事はありません。

 

現役医師に聞く!フリーランス医師のデメリット

ーフリーランス医師のデメリットを、教えて頂けますか?

メリットの裏返しですが、人間関係が希薄過ぎる事です。熱い医師人生を望むなら、向いていません。もちろんこれは人にもよるでしょうから、一概には言えませんが。

あと悪評が立つと一気に広まるので、気をつけて下さい。基本的には大成功しなくても良いから、失敗しないのが重要です。

ー最後に、フリーランス医師に興味のある先生にコメントお願いします!

フリーランス医師は向き不向きがあります。向いていない人には「常勤の方が良い」と思うでしょうし、向いている人からすれば天国です。

自分がどっちのタイプなのかわからない方は、知り合いのフリーランスの先生に相談するか、とにかく誰かに相談してみましょう。自分が見えてない部分を見てもらうのも、人生の選択における重要な資料になりますよ。

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