Web問診、医師向け薬剤比較アプリ…連続起業家医師ー吉永和貴先生

医師の起業

株式会社flixy
代表取締役 創業者
吉永和貴(よしながかずたか)

1988年生まれ。慶應義塾大学医学部卒。学部時代に医療情報配信のサービス開発をきっかけにプログラミングならびにデータ解析にはまる。2014年卒業後、東京ベイ・浦安市川医療センターで初期研修終了し、2016年9月に株式会社flixyを創業。

 

医師が作る「Web問診サービス」で起業ー株式会社flixy

ーまず始めに、事業内容について教えていただけますか?

Web問診のメルプという、医療機関向けの業務効率化サービスです。

病院に行くと患者さんが問診票を書くと思うのですが、それを自宅でWebで記入できて、医師も事前にそれを見た上で1クリックで電子カルテに飛ばせる、そんなサービスです。

Web問診のメルプは、2020年の3月にJMDCという企業に売却しました。

ー事業売却されたのですね。

はい。外部からの資金調達とかゼロで、ピッチとかにも出ず売却する、という形でできました。

レアなケースだと思います。

ーいま行なっている事業は別にありますか?

今はそこのグロースをやりながら、イシヤクという「医師向けの薬剤比較アプリ」を作ってます。

薬剤の添付文書って、薬剤師さん向けに組成とか細かく書いてあるのですが、実際に使う医師にとっての特徴や使い勝手などは書いてなかったので、そこを専門医のコメント付きでまとめました。

 

週1で内科医、起業にリソース投入

ー医師でありながら、具体的にどうやって起業したのでしょうか?

2016年の3月で初期研修を終えて、アメリカのビッグデータ関連のコンピューターサイエンスの修士に進もうと思ってアプライしてました。勉強しながら医師としてはフルで働いてまいた。

お金は貯まったんですが、夏の入試で全部落ちてしまって「じゃあ起業するか」って感じで起業しました。

ー少しずつ起業というよりは、カチッと切り替えられたのですね。

そうですね。2016年の9月に起業してからは週1だけバイトをやって、最低限の生活費だけ稼ぎながら、週6は事業にフルコミットしてました。

他のメンバーもいたのですが、やはり週末だけ副業的にやっていても全然前に進まないので、誰かがフルで入らないとダメだと思って、腹を括って挑みました。

 

医師が連続起業する理由

ー起業したきっかけは何だったのでしょうか?

学生時代、友人に誘われて一緒に起業したのがきっかけです。プログラミングにハマって、国家試験のアプリとかを作ったりしてました。

他には薬の内服コンプライアンス支援のサービスを作ったり(現在、サービスはクローズ)して、大学卒業する頃には「将来はヘルスケア領域で起業できたら良いな」くらいに思っていました。

ー連続起業する理由について、教えていただけますか?

0→1が好きだからです。

次に現時点で考えているのは、イヤホン型の脳波測定デバイスの開発を考えています。こちらは少しチャレンジングです。

ーイヤホン型の脳波測定デバイスについて、詳しく教えて下さい。

脳波はα波、β波など周波数の異なる波が複数出ていて、脳波で見ると区別がつきにくいのですが、そこは機械学習でより高精度に区別ができたらなと思ってます。

イヤホン型なのは、デバイスとして使いやすいという事と、例えば睡眠中に出力された脳波に合わせて音を流す事で、より深い睡眠に誘う事ができたり、睡眠のコントロールデバイスとして使えるかなと思っています。

ー採用募集中の人材とか、いらっしゃいますか?

めちゃくちゃ狭いんですが、医療機器メーカーで脳波のデバイスを作っていたエンジニアの方とかいたら、ぜひ繋がりたいですね(笑)

 

医師と起業の両立は「ぬるま湯」からいかに抜け出すか

ー医師でありながら、起業するハードルは何ですか?

まず1つめに、医師である程度稼げてしまうので、わざわざ起業しようと思える人が少ない事です。

2つめには、起業が遅くなれば遅くなるほど、特に結婚して子供がいたりすると、あらゆる余裕が無くなる事です。都内で住んでいるとなかなか経済的にも潤沢ではなくなるので、経済的・時間的に余裕が無くなってしまいます。

3つめには、医師としての訓練が起業とかけ離れている事です。医師は「答えが決まっている問題を解く」のが得意な人が多いですが、起業に答えはありません。性質的に真逆に位置していると思います。

またレールの上を歩んで生きてきた人が多いので、人生の早い段階でレールから外れる勇気を持てる人も、少ないかもしれません。

ー医師をやりながら「ぬるま湯」から抜け出すのは、難しいのですね。

はい。例えば週3〜4で医師をやりながら起業、みたいな形だと、リスクヘッジにはなるとは思うのですが、他業種の命かけてやっている人達に比べると、スピードが遅いので当然勝てません。

ー吉永さんが「ぬるま湯」から抜け出した時は、いつでしたか?

人を雇った時ですね。フルコミットしてくれる人材を他から引っ張ってきて、その人の給料を払わないといけないとなった時、キャッシュがどんどん無くなるので、完全に火がつきました。

 

起業を目指す医師へ「実は医師こそリスクを取れる」

ー最後に、起業を目指す医師に一言お願いします。

もちろん医師としてのキャリアも素晴らしいですし、全員起業しちゃうと医療が回らなくなってしまいます。

しかし臨床医やってみて「向いてないかな」とか「もっと違う事があるかな」と思うなら、起業も1つの選択肢として良いと思います。

もしダメでも医師に戻って生きてはいけるので、リスクは取れる職種だと思います。

株式会社flixy
代表取締役 創業者
吉永和貴(よしながかずたか)

1988年生まれ。慶應義塾大学医学部卒。学部時代に医療情報配信のサービス開発をきっかけにプログラミングならびにデータ解析にはまる。2014年卒業後、東京ベイ・浦安市川医療センターで初期研修終了し、2016年9月に株式会社flixyを創業。

タイトルとURLをコピーしました